8日(土)西上越 星穴探勝路 K田

メンバー K田(L)、B東、M山、I原、S能(記)
コースタイム 8:20中之嶽神社登山口/8:27 中之嶽神社/8:45見晴らし台/9:23星穴岳直下(星穴)
11:09轟岩/11:30中之嶽神社/11:37中之嶽神社登山口

日本三大奇景の一つ、名勝地としても有名な妙義山。
奇岩怪石が林立する威圧的な山容と日本最難関として恐れられる登山コースはあまりにも有名ですが、
今回はそれらメインの縦走路ではなく、星穴岳直下の星穴を見に行くバリエーションルートのショートコースです。
上信越道から圧倒的な威容を誇る奇岩の稜線を眺めつつICを降りると、すぐにメインルートの妙義山登山口に至ります。
今日はそこも通過し南麓の中之嶽神社まで進みます。
そこは県立森林公園『さくらの里』が山麓に広がる素晴らしい観光地です。

幾種もの桜が薄桃色の絨毯のごとく咲き乱れ、その頭上に巍々とした巨岩群が聳え立ち、
そのコントラストが現実離れした風景を織りなします。
身支度を整え入山します。
鳥居をくぐり参道の茶屋を過ぎると右手に日本一の大黒像が金色に輝き、
すぐに社殿(前宮)に着きます。
そこから急な石段を登り、垂直に聳り立つ轟岩の直下に減り込むように建てられた拝殿で参詣します。
中之嶽神社はこの大岩『轟岩』が御神体の巨岩信仰が礎になっており、本殿がありません。
岩神あるいは神が岩に降臨する原始信仰が土台になっているようです。遥か彼方、悠久の時に想いを馳せます。

ここから登山開始です。バリエーションと言えども踏み跡も明瞭で前半は穏やかな樹林帯の中を登っていきます。
すぐに見晴台に着きます。切れ落ちた岩頭の先端で記念撮影。
眼下にはさくらの里、遠くには下仁田や富岡の里山や山村が遥か彼方まで見晴らせます。
ここからアップダウンを繰り返し、徐々に道が険しくなっていきます。
ザレたトラバースや切り立った岩場には古いロープが張られています。
慎重に進めば問題ありません。
最後の岩場を攀じ登ると双方を巨岩に挟まれたV字のルンゼが現れ、そこもロープを補助に登り切ります。

【山腹を穿つ巨穴、手に汗握る鎖場】
ルンゼを抜けると突然、山腹に空いた大穴が視界に飛び込んできます。
しばし茫然、その穴の威容に圧倒されます。
10m四方もあるこの大穴には伝説があり、大男の百合若大臣が昔、
旧松井田町小山沢から碓井川を跨いで妙義に向かって矢を放ち、星穴岳の山腹を貫いた。
さらにその抜けた岩が下仁田町高立に突き刺さり、
一本岩として残っており、そこを源流とした川は矢川と名付けられているそうです。

 地質学的にみると星穴岳は妙義古火山の噴出物で構成され、
大部分は火屑岩で溶岩や湖沼性の堆積物も含まれます。
山頂直下から沢が湧出し、その侵食作用によって凝灰角礫岩と溶岩の脆い地層境界部分が抜け落ちたと推定されるようです。
噴出物は侵食されやすい特徴があり、また安山岩の岩脈は極めて硬く侵食に耐えるので、
風化侵食により、いわゆる尖峰を形成し、妙義山塊のこの独特な奇景を形造っているのでしょう。
山頂は一般登山禁止ですが、アルパインクライミングは行われており、
頂上から北面の断崖をこの星穴沿いに20m懸垂下降して終了すると。
着地点も切れ落ちた断崖であり、とても恐ろしくてできる気がしません。

しばし奇景を堪能し、ピストンで戻ります。
行きはスルーした轟岩を拝殿の裏側から登ります。いきなりハードな岩場です。
戦慄の断崖を鎖と梯子で攀じ登ります。頂上からは素晴らしい景色、
突先に錆びた鉄のバーがあり絶叫マシンのように座れます。恐怖で足がすくみます。
岩を降るとすぐに参道です。みなさん茶屋で春限定のさくら餅ソフトクリーム(白玉入り?)に舌鼓を打ち、
車で少し下った道の駅で土産物を購入し楽しみました。
短い山行でしたが盛沢山の見所とスリルに満足笑顔で帰路に着きました。